絞り染めと浮世絵【最新作】
- 京都絞り工芸館
- 3月14日
- 読了時間: 4分
更新日:3月21日
【浮世絵】版画と絞り染めの共通点!!
版画は色を一色ずつ重ねて作られますが、この技法は伝統工芸の「絞り染め」と驚くほど似ています。
京都絞り工芸館は、浮世絵を絞り染めで表現する挑戦を続け30年
1995年に葛飾北斎「富嶽三十六景」全46枚の制作を皮切りに、歌川広重「東海道五十三次」全55枚など、伝統技術を活かした新たな芸術表現を追求してきました。
版画も絞り染めも全ての工程が分業で行われます。
大きく分けるとこのような工程になります。
版画(絞り染め)
版元(京都絞り工芸館)
↓
絵師(下画工程)
↓
彫師(絞り工程)
↓
摺師(染色工程)
↓
完成
今回は写楽の代表作「市川蝦蔵の竹村定之進」を、絞り染めで制作します。


絞り染めの作品が出来るまで
絞り染めの作品を制作するには各工程の多くの職人が携わらないと完成しません。
制作を開始する前には念入りな打ち合わせを行います。
本当に制作可能なのか、どうすればより素晴らしい作品になるのか、
各職人さんの意見を聞き、まとめていきながら作品の構想を練っていきます。
使用する生地、染色する色、絞り技法、携わる職人などを制作開始前に全て決定します。

【下画】版画では絵師の工程
まずは下画職人へ型紙の制作を依頼します。
完成した型紙をもとに、青花を用いて生地に下画柄を刷り込んでいきます。

【絞り/括り】版画では彫師の工程
絞り職人は刷り込まれた青花の印にそって生地を絞ります。
細かな絞りから括っていきます。

細かな絞り技法部分の括り作業が終わると、次は染め分けを行うための絞り(帽子絞り)を行います。
糸入れ(縫ってある糸)と樹脂でできた芯を使いながら、特殊なビニールで生地を覆い、麻の糸でしっかりと括ります。
【染め分け絞り】版画では彫師の工程
最高の腕を持った絞り職人が、非常に複雑な染め分けの絞りを行います。

【染色】版画では摺師の工程
絞り工程が終わると、括り忘れなどがないか、生地を何度も確認し染色工程へと進んでいきます。
本作品の一色目は着物部分を赤橙色で染色します。
指定された色にしっかりと染め上げるのが染め職人の腕の見せどころです。
染め一筋50年以上の染め職人が色見本と全く同じ色に生地を染め上げます!



4枚の生地を使って、色が徐々に重なっていく面白さをより分かりやすく表現します。
絞り → 染色 → 解き → 絞り → 染色 → 解きの工程を何度も繰り返していきます。
染め分け部分をしっかりと括らないと染料が滲み込んでしまいます。
また絞り職人の技術だけではなく、染め職人の染色技術も大変重要になってきます。
【絞り職人】と【染め職人】が、お互いの技術をしっかりと理解し合うことで素晴らしい作品が完成します。
着物部分の染色後は、裃部分の染色、顔部分の染色、徐々に色の数を増やしていきます。



括った糸を解きたての生地には絞りの立体感が強く残るため、生地は湯のし職人のもとへ渡ります。
生地の裏から蒸気をあて生地を伸ばし、絞りの立体感を絶妙な具合に残します。


下画、絞り、染色、解き、湯のし、
多くの工程、職人のもとを経て作品は完成します。
1枚目は着物部分のみが染色された作品です
顔や手、襟部分が想像できますか??

2枚目は着物、裃、顔と手の部分が染色された作品です。
顔と手が染色されたことでより全体像が見えやすくなってきました。

三枚目には顔の柄、髪の色が入ったことにより全体像がしっかりとみえます。

4枚目で全箇所の染色が完了です。
最後に少しの彩色加工を加えて作品は完成します。

京都絞り工芸館は、京都が誇る伝統工芸「京鹿の子絞り」を色々な観点から、様々な方法で世界中の人へ絞り染めを発信しています。
「わぁー、京都の職人さんってこんなに凄いんだ!!」
多くの人にそう思っていただくことで、伝統工芸の未来への光がより明るくなっていくことを願い、我々は日々活動しています。
本作品は2025年4月中に初公開予定です。
展示開始時期などお気軽にお問い合わせください
電話:0752214252
Email: mail@shibori.jp
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